木原滋文の島人コラム Vol.30

 

日日是好日 (3) 「町議選雑感」

旧上屋久町と旧屋久町が合併し屋久島町となってから、初めての町議会議員選挙が行われた。
選挙区なしだから、候補者は運動エリアがこれまでの倍。
地方選挙は、依然として地縁血縁がものを言うのが実状である。
これまで関係のなかった旧町に、それぞれどれだけの親類縁者がいるかも、大事な要素となってくる。
これまでは、大して行き来もなかった人が、急に親類面をして、挨拶に来たという話も耳にした。
これは、これまでの選挙でも聞いた話ではあるが。

20名の定数に対して33名の候補者が、町内を走り回った。
ほとんどが、候補者名の連呼だから、その騒がしさは言うまでもない。
集落のある県道は、ほとんどが一本道の80キロメートル。
候補者同士の車が行き会うことは、言うまでもない。
初めのうちは、お互いに激励する声も聞かれたが、終盤になると、全く聞かれなくなった。
当然と言えば至極当然のことだろう。
ライバルなのだから。
辻立ちをして、自分の所信を述べた候補者はどの位いたのだろうか。
私が聞いたのは、10指にも満たなかった。
町議選では、1、2票が大切なのだから、地縁血縁とは関係のない人の心をつかむには、街頭演説やチラシなどで、自分の思いを述べることは、現実的に大切なことである。
国政選挙並みにとは言わないまでも、有権者が、自分たちの気持ちを託すことのできる選挙になってほしいものである。
それが、本当の民主主義だと思うのだが。

今度の選挙戦で感じたことを挙げてみたい。
先ず、選挙戦が派手になったことである。
具体的には選挙カーが大型化し、そこに乗っている運動員が、揃いの服装をしていたり、プロのウグイス嬢を雇っていたりした候補者も数人いた。
私は、選挙のプロではないが、どんな結果になるのか、全く予想がつかなかった。
意外な人の当落もあり得る選挙戦だった。

開票を見に行った。
合併前の開票は、中央公民館で行なわれ、聴衆というか、見物人が会場および周辺には大勢の人が群がっていたので、今回は、その倍ぐらいの人が集まるものと予想していたのだが、なんと、むしろ前回よりも少なかったぐらいなのには驚いた。
いわゆる、私のような野次馬が少なかったのかもしれない。
開票そのものは、夜9時過ぎに終わったのに、発表があったのは11時半をまわっていた。
定数の20位の票が、整数では2人いて、同性の案分票によって決まるという接戦だったのである。
それも0.258票というきわどい票差だった。
一票の重みをしみじみ感じさせられた選挙だった。

新しい議員には、あらためて「選良」の意識を持って、事に当たってもらいたい。
また、有権者も新議員の動向を見守る責任と義務のあることを認識してほしいものである。

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